◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
大いなる影に遅れて桐一葉
“一葉落ちて天下の秋を知る”?の桐一葉。そのさまを「影に遅れて」ととらえたので、故事が暗示的に働く。
香霞さんは、書家でもある。?書も句のうち?と主張する私の?俳書一如?の理想を兼ね備えた俳人と言ってよい。
(帯より:鷹羽狩行)
◆片山由美子抽出より
松手入して美しき瓦屋根
烏瓜夕日重たく落ちにけり
風音の止めば波音雁供養
老鶯のこゑの湖上を滑り来る
ふつくらと香りを詰めて菊枕
水際に鳥の足跡日脚伸ぶ
まんさくや鍬の一打に覚める土
京菓子の水色夏の来たりけり
天上の楽聴くごとく梅仰ぐ
負ふものに軽きものなし雪螢
*
[むらしげこうか(1945)「狩」同人]
帯・鑑賞七句・序句:鷹羽狩行
跋:片山由美子
装丁:和兎
四六判上製カバー装
218頁
2014.04.26刊行