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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
鷹峯しぐれて畑つもの青し
本句集の表題ともなった句だが、一見内容と真逆とも思える地味さが、却って出自を含む句境の成長過程を暗示することにもなった。人柄であり感性であろう。
(序より:辻田克巳)
◆自選十二句より
干若布もどし潮騒よび戻す
元朝のあ行あ段のあの字かな
炭斗の縁に掛けある軍手かな
自転車が自転車を抜き光る風
九月一日梨ひとつ落ちてゐる
菊月や鼓に珊瑚色の紐
端午の日爺の折りたる紙兜
薄切りの新たまねぎの生絹かな
鷹柱見に行くと云ふ蹤いてゆく
笛方に楽始まりぬ花の婚
*
[やまなかやかつこ(1944〜)「幡」星辰集作家]
序:辻田克巳
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
232頁
2014.03.28刊行