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◆ふらんす堂編集日記
◆第三句集
石垣に夜のぬくみや花蜜柑
軒の灯という言葉は、いつも家で帰りを待っていてくれた母の姿につながる。母亡きいまも軒の灯は私の帰る場所である。(あとがき)
◆自選十句
我があとに道らしきもの茸山
花の雲しづかに痩せてゆきしかな
鶴川はだらだら坂の時雨かな
菖蒲田や江戸の紫伊勢の白
朝涼や地図のみづうみ文字のせて
根に残る雪も力ぞ山毛欅若葉
軒の灯にまさる橙飾りけり
一粒をはづし葡萄の房ゆるぶ
初富士や繭の光の雲被き
夏潮の引けば真水が追ひにけり
*
[なかねみほ(1953〜)「一葦」編集長・同人、「風土」同人]
序句:神蔵 器
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
268頁
2014.03.28刊行