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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
田水張り播州平野暮れなづむ
播磨灘の青い海を眺めながら、まだ見ぬ外つ国にあこがれていた少女の百榮さん。
大人になって、少女の頃の夢を実現し、さまざまな土地へ旅をした百榮さん。
生まれ故郷の播州の句をたくさん詠んだ百榮さん。
永遠の少女の百榮さんの旅は、いくたびも故郷播州へ戻っては、また続いていくのだ。
(序より・武藤紀子)
◆自選十句より
金扇にみどりの蛇や花の春
ぶらさがる幾万の絵馬春を待つ
金柑の蜜煮ひとつぶ春の風邪
クレソンの水温みたる御苑かな
野も山もうすむらさきに夏来る
行きはよし帰りは怖し落し文
雷雲や少年いつしか青年に
播州に黒田官兵衛桔梗濃し
ゲーテの町に何を語らふ夜長かな
風一夜額田郡の月夜茸
*
[たなかももえ(1938〜)「古志」「円座」同人]
序・武藤紀子
装丁・和兎
四六判上製カバー装
194頁
2014.03.28刊行