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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
日月の音立てて過ぐ蘆の角
植竹春子さんの句は、ものやさしげだがしっかりものの本質をとらえている。やさしげだが確か。俳句ではこれがむずかしい。植竹春子さんにはそれがある。信頼できる一人である。
(序より・綾部仁喜)
◆綾部仁喜撰
薄氷や人間身分証明書
足音の身をはなれゆく寒の入
歌うたふやうに風船あがりけり
日月の音立てて過ぐ蘆の角
たまゆらの光ひとすぢ下り鮎
鶺鴒の叩きし石に坐りけり
にはとりに踵がなくて小六月
川の音すれば川見て年の果
割るほどもなき文机の鏡餅
一行は十七文字灯取虫
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[うえたけ・はるこ(1947〜)「泉」同人]
序:綾部仁喜
装丁:和兎
四六判フランス装
190頁
2014.02.28刊行