[立ち読みする]
◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
花種を蒔いて誰にも告げずおく
花が咲いた時に驚かそうというのである。こうした秘密はまわりの人に幸せを運ぶ。本句集の読後の清々しさは、若葉の薫りさながらである。
(帯より・鷹羽狩行)
◆片山由美子選
花終へて彼の世へもどる曼珠沙華
消えさうな母の面影桐の花
また開けてみる母の日の贈りもの
草は実に振り向くことの多くなり
柿若葉こころゆくまで拭く廊下
セーターをくぐり抜ければもう笑顔
銀杏散る天使が降りて来るやうに
手にのせて手の軽くなる雪螢
すんなりと人は輪となり落葉焚
跳炭のはがねの音を散らしけり
*
[つるたちしほ(1939〜)「狩」同人]
帯・序句・鑑賞十句:鷹羽狩行
跋:片山由美子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2014.01.30刊行