[立ち読みする]
◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
すべて正調、読みづらい句は一つもない。
家居のときも旅出のときも、自分の位置を保って、その耳目や心にふれるものを、真摯に平明に叙している。そこにおのずから安らぎと和みが生まれている。それがこの一集の趣であり、この人自身の生きかたをも示しているであろう。
(帯より・友岡子郷)
◆友岡子郷選より
遠蛙母としみじみ地震のこと
鹿除けの網一村を包みけり
人形筆守り継ぐ媼小鳥来る
野火の炎の残りてゐたる裾野かな
漕艇のしづかに迅し春の川
田に畑に人ゐて目高孵りけり
七曲り辿り来たりて山法師
母寝ねて闇のひろがる端居かな
この家もむらさきしきぶしろしきぶ
室花抱き昔住みたる家を訪ふ
*
[みかたまさこ(1928〜)]
帯・友岡子郷
装丁・君嶋真理子
四六判上製カバー装
184頁
2014.01.18刊行