◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
来し方を振り返ってみますと、私の人生は「デラシネ」、根無し草のように漂ってきて、物事を深く考え、よく物を見るという大事なことに欠けていたように思います。先生方のあたたかいお言葉、優しい句座に恵まれましたことは、私の唯一の宝物のように思えます。
(あとがきより)
◆収録作品紹介
毛糸編む音といふものわすれをり
閑古鳥こゑの水輪のはるかより
みどり児を穂麦の風の中に抱き
桐の花妙義榛名と晴れわたり
白木槿あはきえにしの訃なれども
拒まれて冬の噴水きらきらす
短足もよきものなるぞ阿波踊り
七勺の米炊けば噴くあたたかし
大学へ一本道や朝桜
カスタニエン落葉いちまい馬車のうへ
*
[いわたふみこ(1934〜)]
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
218頁
20140130刊行