◆ふらんす堂編集日記
◆ふらんす堂編集日記
◆人生の手応え
ぼくの指導する「澤」定例句会に欠席投句三句を出して、その夜にぼくの句評を妻の鶫美さんから聞いた。そして、その翌日に逝ってしまった。それが、服部麦別という男だ。俳句とともに生きた、ということばに一切の偽りはない。ごつごつとした独自性のある俳句に学びたい。一句一句の自他に向けた確かな描写の奥に、麦別は生きている。
(帯より・小澤實)
◆服部鶫美選より
田作を四本の太き箸もて炒る
我吹けば蠅虎の踏んばりぬ
三名の俯してをり大試験
永き日のほつぺた掴み泣かせけり
青竹の太き手摺や菊花展
雪の日の講義逸れたりかまふものか
焼芋屋柱くべたり長きまま
春潮の泡ひろごれり岩の上
筍煮根元を呉れよいぼ付きを
人中に洟一すぢや父泳ぐ
*
[はっとりばくべつ(1945-2011)]
帯・鑑賞・題箋:小澤實
エッセイ等:森下秋露・原 拓也
装丁:和兎
四六判並製カバー装
176頁
2013.12.27刊行