◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
荷を解けば青梅の香のころげ出す
初めに荷から転げのは梅の実ではなく、酸っぱそうな香りであるという。
跳ぶたびに力たくはへ水馬
流されまいとして跳ねている水馬を、力を得ようとしていると見た。
お日様に誘ひ出されて桜狩
昔の殿様一行が山野へ桜狩に出かけるイメージがわく。
教職にあった著者が、子供に返ったような目で物事をとらえている新鮮さのある句集。
(帯より・鷹羽狩行)
◆西宮舞抄出句より
風なくてささやきあへり秋桜
声援を送りたくなる鳥の恋
寒雀いつしよに子らと歌はんか
無事に道渡りきりたる毛虫かな
しやかしやかとうきうきと磨ぐ今年米
近づけば岩から?がれ寒雀
凧おろしおやぢの顔をとりもどす
教室に書初の文字はねまはり
藤波を魚のごとく潜りぬけ
川音が言葉をつなぎ川床涼み
*
[やぶきあさえ(1949〜)「狩」同人]
序句・帯:鷹羽狩行
跋:西宮舞
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
198頁
2013.12.27刊行