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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
俳句という詩型に対する好もしい謙虚さを感じさせながらも、筒井さんの作品はこのつつましい詩型がいかに大きなロマンを宿しうるものかを示して私たちを魅了してきた。現代は過去から未来へ続く太い潮流に棹さしている。そのことを重層的に示す力強い作品群である。
(帯:小川軽舟)
◆小川軽舟抄出十句
寒卵遠き鹹湖のひかりかな
銀漢や落石とほく眠りけむ
河をはる河口のひかり春の雁
団栗やわれら海来しものの裔
新しき辞書寒林のにほひせり
海に雪呪禁の途切れざるごとく
夕立や貝殻のごと都市古りぬ
流星や国捨つる渡河脛濡らし
眉太き一統にして薬喰
原子炉の建屋高きに?当たる
*
[つつい・たつお(1948〜)「鷹」同人]
序・帯:小川軽舟
装丁:和兎
四六判並製カバー装
196頁
2013.12.03刊行