[立ち読みする]
◆第一句集
七月の水音通ふ深大寺
まさ子さんの句は地味である。私の知る限り風土へのはじめての投句から表現に無理や破綻がなかった。無理をして詰め込むことなく表面はあくまで静かである。それでいて野に咲く一輪の花、あるいは日常生活の一つの出来ごとにしても、その感動のポイントを決してはずすようなことはなかった。
(序より 神蔵器)
◆自選十句
冬の田にあたたかき雨降りにけり
七月の水音通ふ深大寺
万葉の歌の赤駒初硯
山動き出す臘梅の咲きにけり
久女忌や氷の上を鳥歩く
初蝶に舞ふ楽しさのありにけり
一木の仏に会ひぬ花八つ手
月下美人夜のしじまの通り過ぐ
一湾の船を遠くに墓洗ふ
それぞれの本に位置あり秋灯し
*
[ふせ・まさこ(1930〜)「風土」同人]
序:神蔵器
装丁:和兎
四六判小口折カバー装グラシン巻
226頁
2013.11.22刊行