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◆第一句集
句集名『蜩』は
蜩の夢のつづきに鳴きにけり
に依る。岡本多満喜さんのこの若々しい新鮮な詩情はその生涯を通して流れ、また命を運んできたに違いない。その幸いを共に喜びたい。
(帯より 森潮)
◆森潮抄出十句
絵のやうに雪降つてをり雛飾る
銭葵咲いてサーカステント裏
木の芽冷え念珠に朱き玉ふたつ
魚の眼の抜けて煮あがる桜どき
どこ歩きても水音の盆の村
小鳥来る井桁に積んで松薪
うぐひすや吹屋にのこる馬?ぎ
ふたり居の生くるつもりの冬支度
病む夫の窓開けよとふ雪舞ひ来
目つむれば一生の見ゆ竜の玉
*
[おかもと・たまき (1925〜)「杉」同人]
帯文:森潮
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装グラシン巻
158頁
2013.11.16刊行