[立ち読みする]
◆第一句集
魚の首ざつくり落とす星月夜
現実の恒子もすてきなのだが、この『トロンプ・ルイユ』はさらにすてきかもしれない。第一、現実の恒子にはなかなか会えないが、この本を開いて立ち止まると、いたるところで不意に恒子が現れる。
(跋より 坪内稔典)
◆自選十句
ふはふはのレタスを買つて風ン中
島ひとつ手のひらに乗せ春の昼
亀鳴くやトロンプ・ルイユ出られない
先生の顔がだんだん河馬になる
凸凹の凹で始まる今朝の秋
秋色の海よりほろと生まれたの
秋冷の音たてて降る小径かな
魚の首ざつくり落とす星月夜
たつぷりと葱をきざんで泣いてやろ
口中の煮凝りのやう君の?
*
[あかさか・つねこ (1947〜)「船団の会」会員 詩誌「ア・テンポ」、「季語研究会」同人]
跋:坪内稔典
挿画:小笠原志津子
装丁:和兎
四六判上製カバー装
186頁
2013.10.07刊行