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◆第一句集
池静か心静かや昼の虫
こうした句は、写生の一つの「授かり物」であって、句としては地味であるが、大きな力を持っていると私は思う。
(序より:深見けん二)
◆自選十句
染めあげて秋の入日の奈良盆地
人はみな眠りに落ちて鉦叩
真つ新な朝日を纏ひ小鳥来る
池静か心静かや昼の虫
追ひ越せぬ我影長き秋の暮
嵩程の音たて落葉踏みにけり
奥宮の昏さ静けさ木の葉降る
音立てて砕けるかとも冬の月
胸の中までもほぐるる日向ぼこ
数へ日や磨きあげたる窓の富士
*
[むらい・ひろこ(1933〜)「花鳥来」同人]
序:深見けん二
装丁:和兎
四六判フランス装グラシン巻
212頁
2013.09.14刊行