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◆ふらんす堂編集日記
◆第二句集
『灌流』の俳句は、感性をのせながら対象にまっしぐらにつき進んで、もののあり様を射止めたものだ。そこには一片の虚構もない純粋な感性の世界がある。直進する感動の世界とは現場に立ってこそ得られるものなのである。
(帯より 斎藤夏風)
◆自選十五句より
荒鋤の田や隅々の薄氷
馬追の髭の揺らぎし火影かな
磨かれて百間廊下寒の内
尾瀬沼に響きてふたつ鳰の笛
広々と家居ふたりや豆を撒く
濃く淹れて三十年の古茶好み
月よくて羽子板市の灯は淋し
七種の小籠すずしろ斜め挿し
初雪のそのまま山の発電所
つぎの風まではらはらと山桜
*
[そめや・ひでお (1943〜)屋根同人]
帯:斎藤夏風
装丁:和兎
題簽:山本素竹
四六判上製カバー装
194頁
2013.07.29刊行