[立ち読みする]
◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
海鼠飼ふ体のなかの暗き海
よき娘、よき妻、よき母、よき嫁である繭さんを、俳句へとかりたてていったものの正体である。繭さんのうちにある暗き熱情は、俳句を通してほとばしりでてきた。 『木の家』は、そのほとばしる激しきものをすべて包みこんでいる。
(序より 武藤紀子)
◆自選十二句より
春潮や父への手紙ただ一度
息白し杉を磨くに滝の砂
春雷や一寸ほどの湖のえび
探梅や月あるうちに家を出て
白繭をのせて小さな秤かな
短日やそのままそこに鉋屑
木の下の母の散髪小鳥来る
ひよんの実やふたり机を並べしと
石の家木の家古しクリスマス
雪濁し濁して馬に会ひにゆく
*
[ほしの まゆ (1951〜)「円座」「晨」同人 「椋」会員]
序:武藤紀子
栞:石田郷子
装丁:和兎
四六判フランス装
212頁
2013.07.19刊行