◆現代俳句女流シリーズ燦II
わが日々の薫風となり吾子逝けり
この句集は鎮魂や祈りのためのみに編まれたものではない。もっと前向きである。「常に息子とともにありたい」からだ。ここに私はみねさんの俳句に懸ける信念をも受け止める。言葉によって、失われた時間が再生され永遠化される。そう彼女は信じているのだ。
（序より：高野ムツオ）
◆自選十句
山繭の揺れつつ深む光かな
故郷の風の音するラムネかな
胸奥に青き空あり雪螢
いま生れし冬木の影と並びけり
父の忌の空深まりて雁渡る
春月に濡れて切株つばさ持つ
かなかなの沖に幼き我と母
一片の雲を見ている葱の花
福耳の子と歳晩の街を行く
わが日々の薫風となり吾子逝けり
*
[さとう・みね（1941〜）「小熊座」同人]
栞：山西雅子
序：高野ムツオ
跋：佐藤きみこ
装丁：和兎
A5判上製カバー装
112頁
2013.07.25刊行
