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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
絵襖の海満ちきたり鑑真忌
耀子作品はゆっくりと時間をかけて深く変貌を遂げてきた。その間の耀子さんの努力は並大抵なものではなかったであろう。しかし私にとってのその間は、どんどん輝きを増す耀子さんを見守ることの出来た大変幸せな時間であった。
(序より 山尾玉藻)
◆自選十句より
茣蓙敷かれある八月の河原かな
牡蠣舟の昼の障子のなんともなし
擂粉木のみどりを洗ふ雛の日
雪解川対岸は顔照らされて
塵となり掃く花びらの逃げやすし
水貝や舟島影に入しまま
絵襖の海満ちきたり鑑真忌
鉾立や枕当てある心柱
退院の父が茶の花言ひにけり
豊年や湯気の中より蛸出づる
*
[やまもと・ようこ (1935〜)「火星」同人]
序:山尾玉藻
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
210頁
2013.07.19刊行