◆一〇〇句の宇宙
自句自解は謂わば?蛇足?のようなものである。(著者)
「蛇足」とは記憶であり、深淵であり、細部であり、解体と創造である。
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標本に動員の針休暇果つ
今年の梅雨季は虫ピンが底を突くほど、久し振りに展翅に精を出した。(略)展翅に現を抜かすのは、翅を展く毎に顕れる意匠と色彩の驚きにあろう。これほど造化の神が気を入れて愉しんだ世界ははっきり言ってない。小林秀雄は何故言わなかったのだろう。?花は美しい。しかし蝶の前ではどんな花も色褪せて見える?と。
(本文より)
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[なかはら みちお (1951〜)「銀化」主宰]
装丁:間村俊一
四六判並製カバー装
212頁
2013.08.01刊行