[立ち読みする]
◆ふらんす堂編集日記
◆第二句集
老いてゆくついでに秋の昼寝かな
本句集「海嶺」の著者川名将義は名打の手足、特選には採るまいぞと思っていても、しばしば”地雷”を踏む。その”地雷”は多方面に及び、読んでも解るように巧者の名に恥じないだけの技量に支えられている。それに最近では”老い”の意識が加わって、何とも渋い味わいも出て来た。心憎い作り手と言えよう。
(帯より 『銀化』主宰 中原道夫)
◆中原道夫選十五句より
いにしへの雪が還つて来て吹雪く
逝く春のかたみのやうに竹生島
座を去るにみな月光を置き忘れ
母国語に戻る夜学の果ててより
あめんぼが水硬くして歩みけり
動く蛇動かぬ衣と別れけり
羊羹の夜長の色を切りにけり
やや寒く部屋に真中のありにけり
それぞれに死への距離あり風邪ぐすり
抽斗の中の遠浅さくら貝
*
[かわな しょうぎ 「銀化」同人]
帯:中原道夫
栞:石寒太
装丁:川名美絵子
四六判上製カバー装
192頁
2013.06.10刊行