[立ち読みする]
◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
深吉野にかなふ青空朴の花
対象に向ける眼差しの穏やかさ、鋭さ、こまやかさ、優しさを称
えておきたい。
(序より 茨木和生)
◆自選十二句より
安達太良の八十八夜の桜かな
星を見に行くといふ子に綿入を
翼あるごとく滑降夏スキー
蝶のキス貰ふ昆虫館の中
魔が差すと言ふ断崖の涼しさよ
雪橇に乗せ火祭の山毛欅運ぶ
春潮の沖の日暮れてすみれ色
鳥帰るアルプス越えに死ぬもゐて
さくらんぼ光零さぬやう抓む
何ほどもなき川なれど鮭上る
*
[ほり・とうこ(1950〜)「運河」同人、「鳳」同人]
序:茨木和生
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
204頁
2013.07.07刊行