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◆精鋭俳句叢書 serie de la fleur
子の増えて父母のゐて初写真
序・山崎ひさを 栞・村上鞆彦
編年体による句集『花種』は、年を追っての一句一句の積み重ねが、そのまま作者の歩みそのものとなっている。そればかりではなく、ひいては入部家とその周辺の歳月を素直に、そのまま詠みとめている。正に先師岸風三楼の説く「俳句は、作者の履歴書」の見事な実践である。―序より
◆自選一五句より
胎動の日毎に強し膝毛布
炎昼の足元に影うづくまる
花散るや父の日記を母が継ぎ
ぶらんこにひと揺られして登校す
花吹雪けふ母でなく主婦でなく
留学の赤いトランク風光る
日曜や娘と二人日傘差し
あをぞらのまだ見えてゐる桜かな
「起きるまで起こさないで」と合格子
青い月ぽろんと夫のピアノ鳴る
*
[いるべ・みき(1958〜)「青山」同人]
序:山崎ひさを
栞:村上鞆彦
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折表紙装グラシン巻
190頁
2013.05.11刊行