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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
菜の花の一本ゆるる操車場
文子さんは頭では絶対に俳句をつくらない。自分の観たもの、直接感じたこと以外は作品にしない。この徹底した教えは、楸邨・寒太・文子に相通じる、一貫した作句精神なのである。(序より:石 寒太)
◆自選一〇句より
生きるといふ遊びの途中春の雪
空つぽのポケットふたつ目借時
歩行者天国はづれ風船持てあます
黒南風や回転木馬修理中
植ゑをはる自由な歩幅田に残し
病院が好きで元気で日日草
嘘つきし舌感じをり蓼の花
日だまりのおまけのやうに木の実落つ
考へるふりの背中の小春かな
笹鳴や今日はじめての空のあり
*
[いちのきふみこ(1943〜)「寒雷」「炎環」同人]
序:石 寒太
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
218頁
2013.05.19刊行