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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
楡の木におもかげひとつ夏帽子
本書、句集『楡』であるが、俳句大好きな岩澤静枝さんの一書である。わたくしは、たまたま撰を頼まれたが、作品の文学的評価よりも、上記の静枝さんの人間的持ち味を中心に、わたくし勝手の選びかたで抽き出させていただいた。
(帯より:綾部仁喜)
◆綾部仁喜抄出より
母もせし菖蒲鉢巻したりけり
あらふねは雨の中なる桔梗かな
指のはらもて白桃をむきにけり
楡の木におもかげひとつ夏帽子
真白な船の通りし寄居虫かな
河鹿鳴く遠くの声でありにけり
待ち人に瓜を浮かせし金盥
勝彦の座りし岩や秋燕
花筏小舟を引いて行きにけり
籠一つ乗せて戻りぬ若布刈船
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[いわさわしずえ(1926〜)「泉」同人]
装丁:和兎
四六判上製カバー装
166頁
2013.04.28刊行