◆ふらんす堂編集日記
◆帯より
けふ二月二十九日ぞ馬鹿をせむ
八田木枯さんとの最後の句会となった辻句会(木枯さんは選のみ)。木枯選の五句の中に入り忘れ得ぬ句となってしまった
刻々と迫ってくる老い。主に六十代の足跡を残して置く事にしたのである
◆自選一二句より
朧夜の我もおぼろの人なりし
足形のうすれてゆきぬ春の泥
日永さや鋸の目立はひとつづつ
郭公が向かひの山を深くせり
遠花火よりも遠くを見てをりし
驚かぬことにおどろく端居かな
日蓮忌?みつきさうな海の波
渚から原発までのきりぎりす
飾り庖丁隠し庖丁敬老日
富士山の動いてをりぬ初列車
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[まつしたみちおみ(1941〜)「暖流」「雷魚」「萱」同人]
装丁:伊藤文彦
四六判上製カバー装
194頁
2013.04.24刊行