◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
さびしさのたとへば白き曼珠沙華
久子さんの作品は先生の教えをよく守って写生を心掛けつつ、滲むように情愛が深く品格が整っている。
(跋より:井上弘美)
◆作品紹介
寺領なるいちまいほどや紫蘇畑
一湾を遥かにしたり青山河
汐風の高さにありて青芒
神域に身を入れたたむ白日傘
卯の花や遺りし夫の常備薬
蕉翁の米磨ぎたるか寒の水
白梅の片側の暮れ始めたる
盆棚に赤き実ひとつ足しにけり
山風の荒ぶ寒天晒しけり
朝顔の紺のもつともさびしかり
*
[かたやまひさこ(1930〜)「泉」同人]
序にかえて:関戸靖子
跋:井上弘美
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
220頁
2013.03.03刊行