◆第二句集
いま住んでいる下総の地は春が近くなると雪が降る。いつのころからか雪が降れば庭の雪を採って雪兎を作り楽しむようになった。この歳々の雪兎を思い、句集名とした。
(著者あとがきより)
◆自選一〇句
三万句まづ作れとや龍の玉
樒にて払ふとんどの火の粉かな
一枚の榊の氷る湯呑かな
鶏の踏んで行きたる椿かな
この浦に鯨ゐしころ桃の花
袋掛国を分けたる流れかな
青き葉が祭支度の空を飛ぶ
瓜冷す寂光院の水をひき
目白籠空をかたまり飛べる汐
花鋏菊の中より取り出しぬ
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[なかやませいち(1943〜)「百鳥」同人]
装丁:山崎登
四六判上製カバー装
186頁
2001.07.15刊行