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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
梅が枝に雨の雫のひと並び
一句一句が、物語的な魅力を持っているのである。ものを言い過ぎないことの美しさを、初学の頃から悟っていらしたのに違いない。読者は、秩父の風土を感じながら、ゆったりと高田さんの作品世界に身を置くことができるはずだ。
(序より:石田郷子)
◆自選十句
面とれば少女でありし梅の花
犬がゐて年寄がゐて雛の家
雪吊を解くや女のこゑにして
大川や母と一と日の桜餅
山祇に畑かへすべし桐の花
紫陽花や登山電車の濡れてくる
朝靄に七夕竹を流しけり
牧草の匂うてゐたる銀河かな
葛の葉の垂れて鶯谷といふ
蘆原の冬あたたかき窪みかな
*
[たかだゆきこ(1937〜)「椋」会員]
序:石田郷子
跋:高柳克弘
装丁:和兎
四六判並製カバー装
190頁
2013.01.17刊行