◆第一句集
シノプシスとはシナリオのあらすじ。
人生を意識した時俳句と出会った作者にとって、一句一句は歳月の紛れもない本音。句集は折々の思いを刻みつけた記念碑に似ている。あるがままを、多彩に、思い切りよく披瀝した作品の数々は、未知のシノプシスへとつながっているよう。
(帯より:西村和子)
◆自選十句
冬枯れの路地裏歩くことも旅
望月の真赭の道を湖にのべ
身に入むや十年留守の母の部屋
満々と水を湛へて蜻蛉の眼
白梅は錆び紅梅は褪せにけり
かたまつてゐて傷ついて青くるみ
それはもう光のかけら柿若葉
忘れ潮にも秋風のしじら波
桜えび入り海風のスパゲッティ
葱刻む後ろ姿の母は吾
*
[すずきようこ(1952〜)「知音」同人]
序:行方克巳
帯:西村和子
装丁:和兎
四六判並製カバー装小口折
246頁
2012.11.03刊行