◆第一句集
冬支度犬を表の木につなぎ
この句は結局、季語への関心と、写生の眼と、人の心を思いやる気持から生れたのだ。それを重くれることなくさらりと簡潔に表現したところに小田俳句の良さがある。
(序より:大串章)
◆自選十二句
煙草の火揺れをり夜のふらここに
鳶の影椿を縦に走りけり
運動会終り兎を抱いてゐる
春ショールピアノをすべり落ちにけり
水鉄砲もの言ふ口を狙ひけり
帰省子にインドの小石もらひけり
冬支度犬を表の木につなぎ
獅子舞の低く構へて始まりぬ
万緑や仁王の裏で考へる
ほとばしる水の高さや山桜
にげる子を団扇で挟むまた逃げる
新涼や紙飛行機に身をかはす
*
[おだれいこ(1953〜)]
序:大串章
跋:原田暹
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
224頁
2012.11.27刊行