◆第一句集
木のおもちや紙のおもちや小鳥来る
対句・リフレインを用いることによって、句にリズム感・ユーモア感が生れている。長年にわたる真摯な句作のなかで培われてきた方法・技法である。こうしたところにも中條さんの実力は余蘊なく示されている。
(序より:大串章)
◆自選十句
馬に乗る馬の高さの秋の風
小鳥来る浦に小さな花屋かな
翁面とりて翁の息白し
四両で買ひし田畑夏炉守る
青嵐子規の従軍鞄かな
剪定の跪くときありにけり
麦の穂や大道芸の旅鞄
舞殿の磨り減りし床晩夏光
子の墓に向日葵挿して帰りけり
短夜や引越の荷に囲まるる
*
[ちゅうじょうひびき(1949〜)]
序:大串章
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
216頁
2012.10.17刊行