◆第一詩集
ゆがんだアスファルトの道をちりちりと光のない蛇がくねって柵に囲まれた林の方へと渡っていく
肉をつかむ形に盛り上がるブロックからは水がこちらにのびあがってきてみっともなく路へついた足も追いやられてしまう
あの跡をこの車輪は踏んでいく白い葉にすくんでいる枝の間に這い入る姿勢をしてまき上げられた雲をくぐりかけているあの囲いはほんとうに人用なんでしょうかとたずねていた
花びらが所在なげに貼りつく暗い窓の人の名前を覚えなくてもいい場所から明日があるように指を曲げてぞろりと剥がれてきたのに脹れの引かない道を通うのは止められない
(収録作品より)
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[しまのりつこ]
挿画:D.Zon
装丁:和兎
B6判変形ペーパーバックスタイル
62頁
2012.10.13刊行