■週間俳句で小野裕三さんが書評を書かれています。
『透明な身体』
◆精選俳句叢書「月」シリーズ
夏痩せてメリーゴーランドと沈む
「夏痩せ」の句が出れば大石さんの句に間違いない。夏痩せの自分を愛しみ、楽しみ、遊ぶ。大石さんの夏痩せの体はまだ未知の、俳句の種の詰まった抽出がいっぱいありそうだ。
(栞より:こしのゆみこ)
◆自選十五句より
舟虫の化石にならぬため走る
螢狩してきし足を抱いて寝る
象の頭に小石の詰まる天の川
菜の花をシャドーボクサー横切れり
木下闇からだを拭けば赤くなり
胸に綿あつまつてゐる夏布団
クーラーのしたで潜水艦つくる
下半身省略されて案山子佇つ
獅子舞の心臓ふたつもて怒る
磯巾着小石あつめて眠りゐる
*
[おおいしゆうき(1958〜)「陸」編集長 「豆の木」参加]
序句:中村和弘
栞:こしのゆみこ
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折表紙グラシン巻き
204頁
2012.09.25刊行