◆第八句集
集名は往還、還元の還、循環の環とも相通じ、天地の運行、そこに生きるもの一切の実相と観じての一文字です。
(著者あとがきより)
◆自選十句より
われに似しちちろの貌と相対す
花にありわれになきもの帰り花
磯のもの一と種(くさ)加へ七日粥
人日の猿を真似たる尾根歩き
行年の坂道見ゆる向ひ山
先刻(さつき)まで日当つてゐし父よ虫
づかづかと寒の入り来し老の家
瞬きの生(よ)やにいにいもみんみんも
只ならぬ残る暑さに残されし
師の居らぬ洞のつづきの年明けし
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[こばやしますいち(1929〜)「寒雷」所属 「杉」同人]
題簽:山本素竹
装丁:和兎
四六判上製カバー装
202頁
2012.09.15刊行