■スピカで江渡華子さんが鑑賞を書かれています。
滴れる滴も銀やさんま買ふ
◆精選俳句叢書「雪」シリーズ
たてがみの量感を以て麦熟るる
横浜から宇都宮に移り住んだ嘴さんの周りには、昔ながらの自然が残っている。それが、嘴さんの俳句におおおらかさと安らぎをもたらしているのではないだろうか。土の匂いが残る、貴重な句集である。
（栞より：片山由美子）
◆自選十五句より
脱ぐやうに解く肩車梅日和
峰雲や野菜はみ出すコロッケパン
一陽来復風宥めつつ象の耳
田水張る帽の鍔まできらめけり
ひとつだけ子の願ひきく河鹿の夜
ゆつたりと五指を解きをり栗の花
トラクター月の代田に置かれけり
青梅の盥にあける音青し
水に挿すやうに納めて針供養
早苗饗や膝やはらかく酔ひてをり
＊
[はしともこ（1963〜）「萬緑」「けごん」所属］
栞：片山由美子
装丁：君嶋真理子
四六判並製小口折表紙グラシン巻き
180頁
2012.09.20刊行
