◆根岸敏三『竹とんぼ』
自伝史の一片となる書を曝す
飲むほどに夜景はいずこ納涼船
子らの夢乗せてはゆれる奴凧
瞑想の顔やさしきや受験生
落書の消されし机卒業期
不合格のわが子の顔をひと夜見ず
リハビリの窓よりわずか梅雨の空
長梅雨や窓の内外静かなり
車椅子離れ大きく秋日浴ぶ
雷光の阻まれており大法廷
（収録作品より）
◆根岸操『ほおずきの種』
生涯の友を夫とし蕨餅
生業は児に寄り添いて草萌ゆる
ブンブンゴマ子は唸らせて春一番
母と来て桜吹雪のやさしさよ
だいこんの花一面の洗濯場
茎立ちや子への想いは切りもなく
岩肌のコマクサ小さく風に耐え
新樹光吾子のかかえる優勝杯
ムース付けし子の背丈伸ぶ夏休み
シドニーの星のまたたき夏休暇
（収録作品より）
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[ねぎしとしぞう（1941〜）「かまつか」「道標」同人]
[ねぎしみさお（1944〜）「かまつか」「道標」同人]
装丁：和兎
A5判並製カバー装グラシン巻函入
210頁
2012.08.17刊行
