◆第三句集
この本は平成十八年以降ほぼ六年間の句をまとめたものである。その間には私にとって人生の節目ともいうべき出来事がいくつかあり、句の上にもあるていど反映されていると思う。(あとがきより)
◆自選十句
紅梅や島辺の雲居さだまらず
半分は空に溶けゐて虹消ゆる
天気予報はづれ秋麗たまはりぬ
重力の働かぬ空銀杏散る
にぎやかな声の方からしやぼん玉
毀(こぼ)れ家にうからつどひぬ四十雀
一冊の本に思ひ出夏休み
白萩の雪崩るる垣を愛でにけり
街角の過去も未来も時雨れけり
みどり児は見つめるばかり冬の犬
*
[うえまつしぎょ(1962〜)「嵯峨野」同人]
装丁:和兎
四六判フランス装
178頁
2012.06.20刊行