◆第二句集
ごつごつの母の手を引く四温かな
この句より句集名を「母の手」としました。気丈だった母は、手を取られることを余り好みませんでした。素直に手を取らせてくれた時は、嬉しさと淋しさが交錯していました。
(あとがきより)
◆自選十句より
置き去りのやうに村あり福寿草
一村をつつみ余せる雪解靄
耕人のあやすがごとく畝を盛る
萎むにはしぼむ力や夕牡丹
木漏れ日のひとつを拾ふ糸とんぼ
汲み置きの水にあめんぼ子の忌くる
雪迎へ帽子の鐔にかかりけり
伝言のあり綿虫を呼びもどす
地吹雪の声立ち上がる田面かな
ごつごつの母の手を引く四温かな
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[くどうみねこ(1943〜)風土竹間集同人]
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
220頁
2012.05.22刊行