◆第二句集
花、無心にして蝶を招き
蝶、無心にして花を尋ねる
花、開くとき蝶来り
蝶、くるとき花開く(良寛)
南さんはいつの頃からか野菜作りをはじめた。無農薬の野菜作りは本物である。自然に学び自然を友として、己の信ずる道を確実に進んでいる。『志楽』は他の追従を許さない。
(神蔵 器:帯より)
◆自選十五句より
若水を汲まん荒縄靴に巻き
うすらひのかけら光りぬ竹箒
くわんおんに臍ありけやきに角芽あり
花篝すこしく幹のうづくまり
てのひらに吸ひつく茄子もぎにけり
森の樹のどこにも触れず黒揚羽
艦砲の照らされてゐる花火かな
きのふより遠くを踏めば秋の風
菊を折る音としばらく日溜りに
帰り花ふつと日差しに消えにけり
*
[みなみうみを(1951〜)「風土」同人]
帯:神蔵 器
装丁:和兎
四六判並製カバー装
178頁
2012.03.14刊行