◆第一句集
森俊人さんは、長年、植物の環境と生育にかかわってきたひと。そこで培われた自然との共生感は、俳句のゆるがぬ土壌である。その氏が俳句を志して、その固有の表現をひたすら学ぶなかで、作品は明らかに自在と親しみと純度を高めている。その心ばせをつぶさに伝えてくれる一集である。
(帯より:友岡子郷)
◆自選十二句
なにげなき日日愛しみつくしんぼ
原人の骨このあたり桜貝
花李騎馬少年のにほひたち
今日の鮠今日の川瀬に游びをり
白杖の人立ち止まり巣立鳥
夏雲や里にひとつの水車
臍の緒を懐中したる墓参かな
つつがなく門灯点り初秋刀魚
千本の萩こぼれ尽き経机
抱卵の山鳩ひそと冬に入る
山眠り老犬さらにしづかにて
この蛇口一・一七のあの蛇口
*
[もりしゅんじん(1933〜)]
帯:友岡子郷
装丁:和兎
四六判並製カバー装
196頁
2012.03.08刊行