◆第一句集
貞子俳句は、平明にして明解をその特色とする。入門以来今日まで淡々と俳句の本道を歩まれて来た。どの句も判り易く、難しい句は一つもない。このおおどかにして暖かい身辺諷詠は、句集『水分』の大きな特色である。
(序より:山崎ひさを)
◆自選十句より
胎動の日々に強しと初電話
追儺面取つても赤子泣き止まず
肩書に無職と書きて花大根
百年の治水の堰や草萌ゆる
みそだんご焼いて落人村薄暑
山車煽るこの故郷に戻り来て
肉厚のピーマンを焼き原爆忌
刈り終へて田へ一礼の男かな
小春日や背伸びして嬰また眠り
仔牛立つ新藁に四肢ふんばつて
*
[もりていこ(1931〜)「青山」同人]
序:山崎ひさを
装丁:和兎
四六判上製カバー装
196頁
2012.02.25刊行