◆第一句集
侘助や木と紙の家うつくしき
河野さんの句は清純で明澄。又、繊細で詩的感性の鋭さがある。丁寧に、大切に、モチーフを生かした句である。作風に乱れがなく快い一集になっている。
(序より:鍵和田柚子)
※柚→「禾由」です
◆自選十句
灯火親し光源氏のよく泣きて
侘助や木と紙の家うつくしき
風に乗り風につまづく蜻蛉かな
てふてふに直線の道なかりけり
十六夜の灯を落とし聞く平家琵琶
乗鞍を一気に転げはたた神
持ち時間ほとほと零す凌霄花
行き過ぎて人はみな影花篝
新宿に蓋あるごとし油照り
蛇泳ぐ水の戦慄したがへて
*
[こうのけんこ(1934〜)「未来図」同人]
序:鍵和田柚子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
228頁
2012.2.2刊行