◆第一句集
パリの街を一人で歩いていると、大切な人と二人で歩いていると感じることがあります。十七区は好きな場所です。パリと故郷の宇部。この二つのエリアを何年間も通い続けました。時に、同じ私なのだろうかと自問さえしながら。
(帯より)
◆収録作品より
花冷えのパリに在り独りに非ず
蕾ゆゑ濃き香りかなフリージア
メーデーやパリサンジェルマンの旗も舞ふ
夏シャツの旅人くぐる凱旋門
乗り捨てし自転車光る夏野かな
畳掃く音に目覚めし夏休み
機首を下げ春雲抜けて宇部の海
背負はれて海水浴や東岐波
冷奴五種の薬味に青絵皿
竹串を打ちて波形の鮎並ぶ
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[たにのみよこ]
挿画:今井陽子
装丁:和兎
四六判ペーパーバックスタイル
110頁
2011.02.14刊行