◆俳句で綴る自分史
寒卵母に学びしことを子へ
母からは見様見真似で多くを学んできた。人生は引継ぎであることを寒卵が象徴。
あたたかや貰つてもらふ子供服
「貰つてもらふ」ということを、暖かな陽気までがよろこんでいるかのようだ。
俳句で綴る自分史だが、同時代を過ごしてきた人々の共感を呼ぶ優れた句が多い。
(帯より:鷹羽狩行)
◆太田寛郎抽出
ふらここや子ら鳥となり風となり
春の夢覚めねば母に会へしはず
父母います空や泰山木の花
根づきたるそよぎとなりし余り苗
青空といふ舞台へと揚雲雀
沼といふ水甕を抱き大花野
山の日の的となりたる烏瓜
くれなゐの空を見てゐる寒の入り
重きこともうれしきことよ豊の秋
日を欲りて日に萎えやすき牡丹かな
*
[かけいたかよ(1948〜)「狩」同人]
序句・鑑賞三句・帯:鷹羽狩行
跋:太田寛郎
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
206頁
2012.01.27刊行