◆南風シリーズ３
よどみなき俳句への愛と信頼、本集を手にした私の感想である。当然、俳句の基本を弁えてのことで、集名になった〈悴みし手をとり田舎教師たり〉の句も体験を身に引き寄せての作。互いの言葉の交響に心打たれる。推すべき佳集が成った。
（帯より：山上樹実雄）
◆自選十句
蜷の道もつれもつれて蜷居らず
薪一投煩悩全捨夏の窯
髪を結ふ夏痩せの肘尖らせて
秋風や石工は石の筋目見て
狼になりたき犬が月光裡
引き取り手待つ冬瓜の薄化粧
綿虫の遊びごころの行方かな
適塾
書生らの足音か冬の急階段
邂逅や胼の手と手を握り合ひ
悴みし手をとり田舎教師たり
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[うえだかくこ（1936〜）「南風」]
帯：山上樹実雄
装丁：和兎
四六判ペーパーバックスタイル
108頁
2012.01.17刊行
