◆第一句集
俳句との出会いによって、日出子さんの豊かな人生経験や興味や文学意識が、一挙に花開き結晶した。彼女の季題発想は自在に時空を超越する。俳句はつくづく体験がものを言う文芸であることを思わせる、滋味あふれる作品集。
(帯より:西村和子)
◆自選十句
身綺麗にありたし老いの初鏡
出張の父の鞄の山葵漬
あんぱんの臍にありけり春の色
風の色光の色の新茶かな
水馬跳ばざれば水古りにけり
吾を撃つ飛行士が見え夏真昼
朝顔のひしやげてこぼす雨雫
秋まつり綿菓子といふ空気買ふ
思ひきや夫なき家の虫の夜
柚子湯して仏のごとき母洗ふ
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[なかむらひでこ(1927〜)「知音」同人]
帯:西村和子
序:行方克巳
装丁:君嶋真理子
四六判上製函入
206頁
2011.01.11刊行