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[川口晴美「出航」](「詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)」より)
◆ 『EXIT. 』に次ぐ第八詩集
二〇〇一年三月から翌年の二月まで、私は歌人の大田美和さんとふたりで、ある試みをしていました。毎月お互いにどこかの場所を指定し、相手に指定された場所と自分の指定した場所、二つの空間で感覚したことをもとにそれぞれが作品を書く、というもの。いつそこへ行くか、一人で行くか同行者を伴うかは自由、ただ場所だけがその月の課題になるのでした。
著者(あとがきより)
◆目次
骨をくわえた獣/午前3時・午後3時/仮縫う夜/raze raze raze/一人キリ/血のゆくえ/24時間サイコ/ディスタンス/夏の息/つめたいみず/リアス/リアル/コミック・シェルター/スコールを待って/呼吸する水の底/みみのなかのみず/空の庭/少年壊れやすく/交差点の幽霊/冬の傾斜/夜歩ク/青黒い崖の向こう/ボディ・インスタレーション/Holiday drive/インターバル/ファミリーレストラン
閉園時刻を告げるアナウンスが流れてくる。長い長い告白のないわたしたちは許されることも終わることもなく、また車に戻って月のような火星のような夜を走るのだろう。ハンドルに置かれた彼女の指先が凍え助手席でわたしの腕が鳥肌だっても、歪んだ唇でするキスみたいに、わたしたちの跡はどこにも残らない。
───「城ヶ島 ── Holiday drive」より
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装丁・君嶋真理子 A5判変型並製カバー 127頁