◆第三句集
無花果や朝には朝の通り雨
日常生活の中で当り前のように出来ていたことが、次々と出来なくなって参りました。もどかしさの中「いま着手しなければ」の思いに駈られ、第三句集を編むことを決めました。
(あとがきより)
◆自選十句
右に海左にも海お花畑
分校とまがふ本校雪解風
沖の灯の沖に吹かるるふぐと汁
貝寄風や岬を出でぬ岬馬
中州には中州の天地麦の秋
星空の燦々とあり洗ひ髪
涼み舟星の傘下に入りにけり
夜学子に星降る帰途のありにけり
連峰の一峰光る苗木市
日焼子に非才秀才なかりけり
*
[いいのていこ(1932〜)「萌」同人]
序句:三田きえ子
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
214頁
2011.12.01刊行