◆第三句集
花粉飛ぶ富士玲瓏と立ちにけり
時に富士山を詠んだと思えば、眼の前に働く漁師さんを、
箱眼鏡咥へて向を替へにけり
と俳句にしている。生活と俳句を結び付けたサチ子さんが輝いて見えた。
(跋より:小西敬次郎)
◆自選十句
喜寿の紅仄に年を迎へけり
花粉飛ぶ富士玲瓏と立ちにけり
手ほどきの茶揉翁の長者眉
箱眼鏡咥へて向を替へにけり
片足で舵取る岬栄螺取り
声のして子供に夏至の夕べかな
やはらかき行水の子を掬ひけり
心太突いて生み出す色もかな
戸田号の祭囃子やプチャーチン
新涼の始発の汽笛二つかな
*
[たかださちこ(1934〜)「泉」同人]
序句:綾部仁喜
跋文:小西敬次郎
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
226頁
2011.12.19刊行